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第2章へ | |
3. PLANNING |
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始める前に |
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BEFORE STARTTING |
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Digital Wayを効率的にかつトラブルなく導入するためにはいくつかの予備知識が必要です。特に従来のTV共聴用部品とは類似しているため、十分な注意をしてください。間違った部品の取り付けや間違った設計はLANが正常に動かないだけでなく、原因の発見を困難にします。 設計上Digital Wayと通常のTV共聴配線と最も異なるのは終端の数と種類です。TV共聴での終端は高周波信号の反射を抑える役目と電波の飛び込みを防止する役目を持っています。一方LAN用の終端は信号の反射を抑える目的と系内のインピーダンスを安定させるために設置します。前者は高周波のみが対象でかつ信号ロスを起こさないようにコンデンサーを含む回路になっています。これに対し後者は抵抗のみの構成です。当然ながらコンデンサータイプの終端はDigital Wayでは使用できません。 |
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ネットワーク管理者の決定 | |
NETWORK MANAGER |
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Digital WayはTV共聴システムであり、同時にLANです。ですから通常のLANと同様にネットワークのオペレーティングを管理する管理者を是非とも設けるべきです。 できるだけLANに詳しい人が好ましいのは言うまでもありません。オフィスビルであれば管理会社の技術担当者が良いでしょう。しかし、マンションのような適当な管理者が見つからない場合があります。この場合は販売代理店側で管理担当者を設けるべきです。トラブルの大半は非常に簡単なものです。極端な場合電源の入れ忘れなどがあります。このような事態に素早く対応するためにも技術的な話を聞き、また理解できる担当者(協力者)の存在が必要です。 |
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TV共聴配線の入手 | |
TV WIRING DAIAGRAM |
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Digital Wayは単純にコンピューターだけを接続するLANシステムではありません。また、1室内だけのコンピューターを設属するLANでもないのです。ビル全体をTVの共同受信設備と併用してコンピューターネットワークを構築する極めて高度でかつ大規模なLANシステムです。 皆さんが通常のLANを設計されるときでも配線図を作られると思います。まして、Digital Wayはより高度なシステムですから、配線図がなくては作業がとりかかれません。この配線図が全てにおいて最優先して作り上げなければいけない課題です。 Digital Way配線図には必ずTV配線図が必要です。既存ビルでのTV配線図の重要性はこの上ないものがあります。もしなければ十分な現地調査を実施し配線図を作り上げる必要があります。幸運にもTV配線図が入手できたとしても新築当時の図面をそのまま信用することは非常に危険です。たいていの場合設計図通りに配線されていることは少ないからです。設計図はあくまでも配線の予定を記入したもので実際の配線を図面にしたものではないからです。この点を考慮して十分な準備することが必要です。 新築物件の場合はTV共同受信システムを十分理解したうえで、電界強度の計算と信号劣化を考慮して設計する必要があります。TV配線の善し悪しがDigital Wayの導入コストを左右すると共に安定性にも影響するからです。新築物件も既存ビルと同様に実際の工事に入ると配管配線工事において変更を余儀なくされる場合がありますので十分な注意と準備が必要です。言うまでもありませんが配管及び配線工事事業者の協力なくして工事の完工は望めません。 レベルダイヤグラムの作成 既築物件ではレベルダイヤグラムを作成して下さい。レベルダイヤグラムとは、ブースター出力レベル、ケーブルの伝送損出、使用機器の分岐・分配損失や受像機入力レベルなどを系統的に示したものです。WebGate工事ではユニットを全て交換することになりますので、工事後のトラブルを回避するためにも、工事前のレベル確認が望まれます。 |
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TV共同受信システムの設計 |
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新築物件の場合、TV共聴から設計することが必要になります。設計にはいくつかの基本的要項があります。
□ 直列ユニット方式を基本とする。 次表に直列ユニットの接続段数と信号ロスの関係をまとめた。配線のロス分は概算です。 |
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表 直列ニット段数と室内側ジャックの信号減衰の関係 (単位:-dB) |
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(注)配線は5C-FBを想定、ユニット間隔は5mで計算。 |
ネットワーク設計図の作成 |
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NETWORK DESING |
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TV配線図が入手できた段階からDigital Wayの設計が可能になります。まず室内ユニットの部分を全てコンピューターだと仮定してLAN配線図を設計してください。このときの設計は全て10BASE-2の規格基準で行ってください。では下記のTV配線で実際に設計してみましょう。 |
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TV配線元図面(既存物件の場合) |
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1)LAN セグメントの決定 直列ユニットがつながっている部分を1つのLAN(セグメント)と考えます。セグメントとはネットワークの最小単位をいいます。通常のオフィスでは1室1セグメントの場合がほとんどです。Digital Wayでは直列ユニットを1端末と考え10BASE-2でLANを構築しますから、分配器から分かれた下部の支線を1セグメントとして考えます。ですから分岐分配方式の配線では1セグメント1端子となります。 次にそのセグメントをリピーターに接続します。リピーターとの接続にはWebMix/Separatorを使用します。WebMix/Separatorはデジタル信号とアナログ信号を分離、混合する機能を持っています。このときの挿入損失はほとんどありません。スペック上は1dB以下ですが、無視することができる程度です。 |
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直列ユニットのセグメント |
WebMix/Separatorによりデジタル/アナログ信号を分離 |
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(2)バックボーン配線の設計
リピーターのポートは1ポート空けておきます。4ポートのリピーターでは支線側に3ポートが使用可能です。AUIポートが別にあれば10BASE-2のBNCポートは全て使うことができます。この場合はAUIをBNCに変換するMAUが必要になります。 全てのセグメントがリピーターにつながるとリピーターを1本のバックボーンで接続してください。1本でつなぎきれないときはリピーターを使用してください。リピーターはバックボーンとバックボーンを接続する能力を持っています。バックボーンを別線で工事できる場合は完成です。ただしリピーターには使用台数に制限がありますので注意してください。
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リピーターの接続方法 |
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(3)バックボーンを別線工事できない場合 バックボーンを別線工事できないときはTVの本線を利用します。にDATA信号を混合します。このときもWebMix/Separatorを使用してください。 全ての配線がつながりましたら各セグメントに終端が2箇所あることを確認してください。 |
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(4)HeadCubeの利用 HeadCubeはリピーターの機能を持ち、かつTV信号とLAN信号を混合する能力を有する本線用機器です。簡単な物件の場合HeadCubeとWebGate-2だけでシステムを作ることができます。 システム設計に際してはHeadCubeの諸性能を十分に把握することが重要になるでしょう。HeadCubeは基本的に下記の図のような機器の組合わせと同じです。 |
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HeadCubeを使用すると前記配線図は次のようになります。配線の単純化と機器数の減少が可能です。さらに設計がかなり簡単になることと工事時の配線ミスが避けられる点がメリットとしてあげられます。一方、端子を十分に活用できないとコストアップにつながることもある。設計の際には機能の十分な把握が必要です。特に各ポートの諸性能を理解することが必要です (5)ブリッジによるバックボーン同士の接続 |
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(6)ルーターの設置 バックボーンをルーターに接続します。複数のバックボーンがある時はなるべく大規模なバックボーン(LAN)にルーターを接続してください。 WAN側に出すルーターはどこにでも付けることができます。ただし、人が触れる所に置くのはトラブルの元になります。トラブル時の切り分けも難しくなることが予想されます。もっと大きい問題は支線には他の階でコンピューターを接続することが考えられます。このコンピューターが正常に作動すれば問題はありませんが、ノイズなどを発生させた場合リピーターによりLANから切り離されます。そうなるとLANとルーターの接続が切れることになります。このため設計に余裕があればバックボーンにルーターを付けることをお勧めします。より安全度の高いシステムとなるでしょう。 スイッチなどを使用する場合にはスイッチングハブにルーターを直接つなぐのが好ましいでしょう。 |
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トラッフィクスの予測とLAN構造の計画
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配線は出来上がりましたが、使用状況を考慮してトラッフィクスの調整をしておく必要があります。200室を越えるようなネットワークは将来においてトラッフィクスが混雑することが十分に予想されます。この場合バックボーンをいくつかに分けブリッジを経由してください。周波数帯域を有効に使うことができるようになります。また、スイッチングハブやルーターによる分離も非常に効果があります。ただし必要以上の機器の投入はコストの面で問題になるほかネットワーク全体が複雑になりメンテナンスを行いにくくしますので注意してください |
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配線例 | |||
HeadCubeを使用しない場合
各セグメントの連結にリピーターを利用して接続します。小規模の物件で、分配器が多用されている配線では価格的に安価にできる場合があります。WebM/SII等がたくさん必要になり工事は大変です。取り付けスペースのも注意が必要です。破線内はボックス内の取付機器を示します。
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HeadCubeを使用した場合
HeadCubeはDigital Wayでのボックス内の工事を簡素化し工事ミスを最小限に抑えるように考えられたセンター機器です。工事は飛躍的に簡単になりますが、設計で最適化を図らないと工事費のアップにつながります。同一配線での比較を示しますので、使用機器の差を確認して下さい。 |
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設計上の留意点 |
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NOTICE ON NETWORK PLANNING |
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一部分だけ弱点を作らない 通信システムは、大半の部分に高規格品を選んでも、一つの部分だけ低能力製品を使用すると全体の性能はそこがボトルネックになります。また、レベル減衰の大きな要因として接線やユニットの心線、網線部分の接触不良や不整合があります。Digitaly Way指定の機器をご使用下さい。万が一トラブルが生じた場合保証範囲外となる場合があります。 余裕を持ったシステムにしておく。 各機器及び各端末レベルが適性出力ぎりぎりではなく、ある程度余裕をもった設計にして下さい。特にTV側では工事完了後もメンテナンスでブースターなどを出力調整します。調整の余地のある設計が工事を含め全ての作業をスムーズに進行させます。また、余裕のある設備はそれだけ長期間の使用に耐えることができます。 保守・点検のことを考えておく。 保守・点検のことを考え、ブースターBOXには余裕を持たせてください。機器の設置にはメンテナンスを考えて行ってください。 温度、湿度を考慮してください。 Digital Wayでは、ブースターBOX内に各種コンピューター機器を設置することになります。温度、湿度、換気などを十分に配慮して下さい。ボックスには必ず通風口を設置してください。 |
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